“消費者のニーズの多様化や、インターネット・SNSの普及により、マーケティングは3.0から4.0に変化した”と「近代マーケティングの父」フィリップ・コトラーは著書で述べています。
※参照※マーケティングの1.0から4.0までの流れ『今さら聞けない?ーそもそもマーケティングとはー』
マーケティング4.0は「顧客の自己実現欲求のためのマーケティング」と言われています。
自己実現というとイメージが難しいかもしれませんが、身近な例だとInstagramへの投稿です。
投稿した写真や動画を通じて、なりたい自分・生活の表現(実現)を行うため、「インスタ映え」という言葉に代表されるような雰囲気の良いお店や場所の写真や動画を投稿するのです。
(SNSへの投稿は承認欲求も含まれていますがここでは割愛します。)
そしてその投稿した写真や動画には投稿者が意識しなくとも、フォロワーやハッシュタグを通じた他者への「推奨」が含まれています。その「推奨」までをカスタマージャーニーに含めたものが「顧客の自己実現欲求のためのマーケティング(=マーケティング4.0)」ということです。
この「推奨」を、金銭を使って発生させることをインスタグラマーに代表されるインフルエンサーマーケティングと呼びます。
コトラーはこの「推奨」を含めたカスタマージャーニーを「5A」と提唱しています。
この「5A」は
・Aware(認知)
・Appeal(訴求)
・Ask(調査)
・Act(行動)
・Advocate(推奨)
という枠組みです。
似たようなもので電通が提唱した「AISAS」<Attention(注意)/Interst(関心)/Search(検索)/Action(行動)/Share(共有)>というものがありますが、大きな違いは、「AISAS」の「Share(共有)」はオンライン上に限定しているのに対して、「5A」の「Advocate(推奨)」はオンライン・オフライン両方を含んでいることですが、いずれにせよカスタマージャーニーに消費者同士の情報の共有(推奨)を含んでいるものになります。
「推奨」という言い方をすると新しくも聞こえますが、「推奨」は以前からずっと行われています。
それはオフラインでの「クチコミ」です。
ともすればマーケティングという概念が生まれる前からずっと存在しているものです。
しかしオフラインでの「クチコミ」は可視化できず、企業にとっては長らくアンタッチャブルな領域で、消費者の購買後の行動まではマーケティング活動を行う上では考えられてきておらず、
・Aware(認知)
・Attiude(態度)
・Act(行動)
・Act again(再行動)
の「4A」に留まっていました。
しかし、インターネット上での「クチコミ(レビュー)」やSNSの普及によりある程度までは可視化できるようになり、購買後の行動(推奨)まで含めたマーケティング活動をする必要性が出てきました。
つまり、消費者同士の情報拡散規模が拡大していくと、企業と消費者が有する情報差がなくなります。
認知度アップのためだけに莫大なコストをかけても、すぐにその情報は消費者にとって必要のないものとなってしまうような時代になっています。
そのため、企業は認知度アップのための単純な情報発信ではなく、直接的な購買に繋がらなくとも、消費者が驚いたり感動したりすることを提供しなくてはなりません。
その驚きや感動の提供が「5A」のカスタマージャーニー上での「Appeal」となり、結果として「Act」へ繋がり、驚きや感動を他者へ「Advocate」することで、初めてマーケティング4.0としてのマーケティング活動として成功した、と言えるようになるのです。